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「ハードフォークってどういう意味?」
「対策や値動きへの影響が気になる」
仮想通貨に興味があっても「ハードフォーク」という言葉がどういう意味なのか、どんな影響があるのかわからない方も多いのではないでしょうか。
ハードフォークとは、仮想通貨のシステムが変わる分岐点です。起きることでメリットもありますが、同時にデメリットや注意すべきポイントもあるので、トラブルを避けてうまく対応をするには情報収集と信頼できる取引所選びが重要です。
本記事を読んでいただくことで、ハードフォークの目的や過去の事例から仮想通貨の仕組みへの理解が深まり、最適な対策をとることで安心して取り引きができます。
- ハードフォークとは仮想通貨の分岐点のこと
- 価格変動やトラブルが起きる可能性がある
- 情報収集と信頼できる取引所選びが重要
目次
ハードフォークとは仮想通貨の分岐点のこと
ハードフォークとは、ブロックチェーンの仕様変更による、仮想通貨にとっていわば分岐点となるタイミングです。
ブロックチェーンとは、取引データを管理する方法の一つで、取引履歴ごとに1つのブロックとして扱われます。取引データのブロックが連なって保存されており、データを分散させて管理できるのがメリットです。
現在ほとんどの仮想通貨に用いられている「パブリックブロックチェーン」は、特定の管理者に権限が集中しません。不特定多数が協力し、合意することで稼働する分散管理型の通貨システムを成立させています。
問題解決やさらなる発展のために、新しいルールを作ることで、その時点から新たなブロックチェーンが作られていきます。古いルールと新しいルールのブロックが、まるで食器のフォークのように分かれることが、ハードフォークの名前の由来です。
ハードフォークの2つの種類
ハードフォークは2つのルールのブロックチェーンに互換性がなく、それぞれが完全に独立した状態です。新しいルールが誕生するにあたって、多くの場合は古いルールのブロックチェーンは不要となりますが、仕様変更への反対により残り続けるケースも存在します。
したがって、ハードフォークは以下の2種類に分かれています。
- 合意形成したケース
- 合意形成しないケース
1.合意形成したケース
ハードフォーク後、新しい仕様に変更されることに反対の動きがなく、合意のもと進んだ場合は実質的に古いルールのブロックチェーンは消滅します。
仮想通貨の開発や仕様変更の方針について、コミュニティ全体の意見がまとまっている場合は、新しいシステムに変わった状態で普及することになります。
イーサリアム(ETH)のビザンチウム(2017年10月)
2.合意形成しないケース
もう1つの種類は、ハードフォークによって分岐した2つの仮想通貨がどちらも存続するケースです。
仮想通貨の開発や仕様変更の方針について、コミュニティ内部で意見が対立した場合は、賛成派と反対派に分かれることがあります。この状態でハードフォークが実行されると、2つのコミュニティがそれぞれ分岐した通貨を支持し、両方が存続します。
意見の違いにより、折り合いをつけることができないことが、全く新しい仮想通貨が生まれる理由です。
- イーサリアムとイーサリアムクラシック(ETC)(2016年7月)
- ビットコインとビットコインキャッシュ(BCH)(2017年8月)
ハードフォークとソフトフォークの違い
分岐を表すフォークには、ハードフォーク以外にも「ソフトフォーク」があります。
ソフトフォークは、互換性を持ちながら、仕様変更によって新仕様と旧仕様のブロックチェーンに分岐することです。
ハードフォークとは違い、新たな仮想通貨は生まれずに、新しいルールのみが追加されます。
- ビットコインのP2SHへの仕様変更
- モナコイン、ライトコインのSegWitの導入
ソフトフォークも一時的な分岐は発生しますが、互換性があるため、ふたたび1つのブロックチェーンに統合されることが特徴です。
ソフトフォークのよる仕様変更は、ハードフォークの場合と比べると、小さな影響であることが多いといえます。
ハードフォークにはどんな意味がある?ハードフォークを行う2つの理由
ハードフォークは、以下のような目的でおこなわれます。
- スケーラビリティ問題の解決
- ハッキング行為への対策
1.スケーラビリティ問題の解決
ハードフォークをおこなう1つ目の理由は、スケーラビリティ問題を解決するためです。
スケーラビリティ問題とは、仮想通貨の取引量の増加に伴って、取り引きの承認が追い付かなくなることです。仮想通貨はデータの管理が重要であり、取り引きの増加が容量を圧迫すると、スムーズな処理を妨げてしまいます。
処理に遅れが生じると、取り引きの遅延や手数料の高騰にもつながります。スケーラビリティ問題の解決には、ブロックサイズを変更するといった方法で、容量を拡張する対処が必要です。
ハードフォークによって、スケーラビリティ問題を解決した新たな仮想通貨が生まれます。
2.ハッキング行為への対策
ハードフォークをおこなう2つの理由はハッキング行為への対策です。
多くの仮想通貨は分散して管理されていますが、集まるポイントとなる取引所を狙ったハッキング行為が発生しています。通貨や個人情報が盗まれることで、大きな被害となります。
2018年1月、Coincheckで管理されていた580億円相当のネム(NEM)がハッキング行為により流出しました。事件後、日本円での補償をおこない、セキュリティ体制が大幅に見直されました。
ハッキング行為は流出だけでなく、取引所の取り引きが一定期間停止される原因にもなります。ハードフォークにより、ハッキング行為を受ける前のデータから新たに分岐させることができるため、トラブルを回避することも可能です。
ハードフォークにおける3つのメリット
ハードフォークにおける、ユーザーにとってのメリットは以下の3つです。
- 問題が解消され、スムーズな取り引きが見込める
- 新通貨がもらえる可能性がある
- 価値が上がる可能性がある
1.問題が解消され、スムーズな取り引きが見込める
ハードフォークによって、仮想通貨の売買がスムーズにおこなわれます。
主にスケーラビリティ問題が解消されることでストレスなく利用できる点は、ユーザーにとって大きなメリットになります。ハッキング行為への対策なども含めブロックチェーンが抱える課題を、仕様変更により改善することが可能です。
2.新通貨がもらえる可能性がある
ハードフォークの2つ目のメリットは、新通貨が付与されるケースがあるということです。
新しい仮想通貨が作られた場合は、プロモーションのために無料で配布されることがあります。こういったキャンペーンは「エアドロップ」と呼ばれ、ハードフォークに伴った新通貨も例外ではありません。
2017年、ビットコインキャッシュが生まれた際、ビットコインの保有者に同数のビットコインキャッシュが無料で配布されました。
新通貨の付与に関して、令和元年12月20日の東京地裁の判決では「取引所は無理に新しい種類を与える必要はない」としています。
しかし、新通貨の付与をおこなう取引所を選ぶユーザーが多いことから、今後もエアドロップには期待できます。取引所や通貨により配布の条件は様々ですので、あらかじめ確認が必要です。
3.価値が上がる可能性がある
ハードフォークにおける3つ目のメリットとして挙げられるのは、通貨の価値の上昇です。
ハードフォーク後は、新しい仕様となったことで注目を集めます。期待度が高いほど価値も上がりやすいと考えられ、ビットコインから生まれたビットコインキャッシュも高値で取り引きされました。
また、ハードフォークは、実施されるブロックチェーン関連の通貨の値動きに影響を与えるだけではありません。特にメジャーなブロックチェーンでハードフォークがおこなわれる場合は、市場全体に影響を及ぼすこともあります。
2017年~2018年初めにかけての仮想通貨バブルを引き起こす一因となったのは、ビットコインキャッシュが生まれたビットコインのハードフォークです。
しかし、ハードフォークが市場にとって必ず好意的に受け取られるとは限りません。時にはマイナスに影響することもあるため、ハードフォーク前後には実施されるブロックチェーンの関連通貨の値動きに注意が必要です。
ハードフォークにおける3つのデメリット
ハードフォークにおいての3つのデメリットは以下の通りです。
- リプレイアタックのリスクが高まる
- バグやエラーが起こる可能性がある
- 取引データの信頼性が下がる可能性がある
リプレイアタックのリスクが高まる
ハードフォークで考えられる1つ目のデメリットが、ハッカーによる「リプレイアタック」の可能性の上昇です。
リプレイアタックとは、送金情報などのデータ転送の不正や遅延を生じさせる攻撃のことです。なりすまし行為といわれるリプレイアタックは、新仕様へ切り替える際にデータがコピーされやすいことから、新通貨ができるときにリスクが高まります。
また、ブロックの承認に必要なハッシュパワーが、ハードフォーク後には分散されてしまうことも攻撃を受ける可能性を高めています。
バグやエラーが起こる可能性がある
2つ目のデメリットはハッシュパワーの分散により、バグやエラーが増える可能性があることです。
ハッキング行為を受けた場合など必要に迫られて、想定外のタイミングでおこなわれるハードフォークと、十分な計画のもとおこなわれるハードフォークがあります。
ただ、計画的におこなったハードフォークでも、バグやエラーを完全に防ぐことはできません。
2019年にビットコインキャッシュのハードフォークがおこなわれた際、ネットワークの一時不安定などのトラブルが起きています。
正式な作業をおこなった場合でも、ハードフォークの前後は予期せぬバグやエラーが発生するタイミングです。
取引データの信頼性が下がる可能性がある
ハードフォークにより起こる可能性があるデメリットの3つ目は、取引データの信頼性が下がることです。
ハードフォーク後は、新通貨をスピーディーに浸透させることが重要です。
しかし、承認作業の難易度が下がるなど、確認が甘くなることで悪影響が出る場合もあります。信頼性の低下は価格にも反映される可能性もあるため、注意が必要です。
過去のハードフォークの事例5選
これまでに特に話題となったハードフォークは以下の5つです。
- ビットコイン(2017年8月)
- イーサリアム(2016年7月)
- ビットコインキャッシュ(2018年11月)
- ネム(2021年3月)
- イーサリアム(2022年9月)
仮想通貨 | 時期 | ハードフォークに至った背景 | 新通貨 |
---|---|---|---|
ビットコイン(BTC) |
2017年8月 | スケーラビリティ問題の解決 | ビットコインキャッシュ(BCH) |
イーサリアム(ETH) |
2016年7月 | The DAO事件の不正流出 | イーサリアムクラシック(ETC) |
ビットコインキャッシュ(BTH) | 2018年11月 | DAppsを構築する機能の実装 | ビットコインSV(BSV) |
ネム(XEM) |
2021年3月 | 新通貨の誕生 | シンボル(XYM) |
イーサリアム(ETH) |
2022年9月 | スケーラビリティ問題の解決 | イーサリアムPoW(ETHW) |
1.ビットコイン(2017年8月)
1つ目の事例が2017年8月におこなわれたビットコインのハードフォークです。
当時のビットコインは急激に需要が高まり、データ容量の不足によるスケーラビリティ問題を解消することが求められていました。
ビットコインの容量は1MBと少ないことから、多くの情報は扱えず、解決案として以下の2つの方法が挙げられました。
- ブロックの容量を拡張する
- データの圧縮技術である「Segwit」の導入
2つの意見でコミュニティ内が分かれた結果、30倍以上のデータが処理できるビットコインキャッシュが生まれました。ブロックの容量を拡張し、処理スピードなどを上げる一方で、セキュリティ性能が低下するという指摘もあります。
その後もビットコインのブロックチェーンは何度もハードフォークがおこなわれていますが、最も話題となったのが2017年のハードフォークです。
2.イーサリアム(2016年7月)
2つ目の事例が、2016年7月のイーサリアムのハードフォークです。
2016年6月のThe DAO事件による不正流出があった事実そのものを取り消すため、仕様変更が実行されました。
イーサリアムのブロックチェーンを基盤としていた分散型の投資ファンド「The DAO」がハッキング行為により、当時の価格にして約52億円ともいわれる額が流出する被害を受けました。
一方、ユーザーからは反対の声もあがり、不正流出の記録が残った旧仕様のブロックチェーンもイーサリアムクラシック(ETC)という名称で存続します。
3.ビットコインキャッシュ(2018年11月)
ビットコインキャッシュは、2017年8月のビットコインのハードフォークによって生まれた仮想通貨です。
2018年11月には、ビットコインキャッシュでも大規模なハードフォークが起こり、新たな仮想通貨であるビットコインSV(BSV)が誕生しています。
DApps(分散型アプリ)を構築するための機能の実装を巡って、「ビットコインABC」と「ビットコインSV」という2つの開発チームの意見が分かれたことが要因です。
ビットコインABCはDAppsを構築できるようにするための機能の実装を進めました。一方、ビットコインSVはビットコインから続いてきた思想に反すると考え、機能の実装に反対したことで新しい仮想通貨となりました。
4.ネム(2021年3月)
ネムは2021年3月にカタパルトと呼ばれるハードフォークがおこなわれ、その際にはシンボル(XYM)が生まれています。
このハードフォークが実行された背景には「個人用(ネム)」と「法人用(シンボル)」の仮想通貨をつくる目的がありました。
ネムはビットコインの10倍の処理スピードを誇ることや「アポスティーユ」と呼ばれる公証発行機能により、公正証書を作成できるといった独自の発展が注目を集めています。
5.イーサリアム(2022年9月)
イーサリアムは2022年9月に、スケーラビリティ問題を解決するための大型アップデートがおこなわれています。
膨大な計算をおこなうプルーフ・オブ・ワーク(PoW)から、仮想通貨の保有率や承認率によって承認率しやすさが変動するプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へコンセンサスアルゴリズムを変更することが目的でした。
ブロックの合意方法で、それぞれの仮想通貨によってことなる仕組みを採用しています。
コンセンサスアルゴリズムがPoSに変更されたブロックチェーンは、引き続きイーサリアムチェーンとして運営され、変わらずPoWを用いる旧仕様の通貨がイーサリアムPoW(ETHW)です。
ハードフォークが起きるときの2つの注意点
ハードフォークは仮想通貨にとって大きな影響があるため、注意すべきポイントもあります。
以下の2つの点には、特に注意が必要です。
- 大幅な値動きによる損失
- 一時的な取引停止によるトラブル
1.大幅な値動きによる損失
ハードフォークの前後は、期待と不安の両方が入り混じることから、仮想通貨の値動きが激しくなる傾向があります。不安定な値動きによって、損失を生まないように注意してください。
ビットコインキャッシュも、1ヵ月単位で大幅な価格の変動がありました。
高騰の可能性も十分にありますが、信頼性が下がるようなトラブルやネガティブなニュースによる値動きも考えられるのも特徴です。
2.一時的な取引停止によるトラブル
ハードフォークがおこなわれる際には、トラブルを防ぐために関連通貨の取り引きを一時的に停止するケースもあります。売買のタイミングなどを逃すことがないようにしてください。
2019年のビットコインキャッシュはハードフォーク後も、ネットワークの不安定さが原因で入出金の一時停止が続きました。
また、送金や移動もできない場合もありますので、スケジュールを確認しながら前もってウォレットに移すなどしておきましょう。
ハードフォークが起きるときの2つの対処法
ハードフォークが実行されると知った場合は、トラブルを避けるために以下のような対処をおこなう必要があります。
- 最新の情報を集める
- 取引所を確認する
1.最新の情報を集める
ハードフォークがおこなわれる際に、重要なのは情報収集です。
公式のアナウンスはもちろん、仮想通貨関連のニュースサイトもこまめに確認して最新の情報を集めておきましょう。
話題性があるほど、情報が多くなり、事実と異なる情報も現れます。誤った情報に流されずに冷静な判断で対処してください。
2.取引所を確認する
もう1つのハードフォークへの対策は、取引所の情報を確認することです。
ハードフォークが実行される関連通貨は、バグやエラーのリスク回避のために取引を一時停止することがあります。取引所ごとのスケジュールを把握して、移動や売買のタイミングを逃すことがないようにしましょう。
また、新通貨が付与されるケースでは、他の取引所も確認しながら付与の条件を満たすようにしておくこともおすすめです。
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ハードフォークについてよくある質問
- ハードフォークで新通貨をもらうと税金がかかる?
- ハードフォークを予定している仮想通貨は?
ハードフォークで新通貨をもらうと税金がかかる?
ハードフォークで新通貨を付与されるだけでは、税金はかかりません。
通貨が与えられた時点では「所得」にはならないことが理由です。
ハードフォークに限らず、新通貨が上場していないことから、市場価格がついていない状態であれば0円として扱われるので、課税の対象にはなりません。
ただし、通貨の価値が上がった場合の利益や売買に用いた場合の利益については確定申告の対象になります。ドルや他の仮想通貨と交換した場合でも、申告の必要があるので注意してください。
サラリーマンの場合は利益が20万円以上、自営業やフリーランスは利益が出た時点で確定申告が義務となっています。
ハードフォークを予定している仮想通貨は?
ビットコインキャッシュが2023年5月にハードフォークを予定しています。
ビットコインキャッシュは5月と11月に定期的なアップデートをおこなっているのが特徴です。
今回は、取引データを縮小することでよりスムーズな取引がおこなえるようになったり、ビットコインキャッシュがベースのアプリケーションの構築が可能なスマートコントラクト機能の実装されたりといった改善内容です。
ハードフォーク後はさらに便利にビットコインキャッシュの利用が可能になるといえます。
ビットコインキャッシュの価格は2023年に入ってから上昇傾向にあり、さらなる普及に期待されていることが分かります。
まとめ|ハードフォークは仮想通貨の分岐点!情報収集と信頼できる取引所選びが重要
- ハードフォークとは仮想通貨の分岐点のこと
- 価格変動やトラブルが起きる可能性がある
- 情報収集と信頼できる取引所選びが重要
本記事では、ハードフォークの仕組みや注意点について解説しました。
ハードフォークは値動きにも影響を及ぼします。最新の情報収集と信頼できる取引所での口座開設で、新通貨の受け取りやトラブル回避をおこないましょう。